スワヒリ亭こゆう

少女は卒業しないのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

少女は卒業しない(2023年製作の映画)
4.2
朝井リョウさんは『桐島、部活やめるってよ』を映画と原作の両方を拝見して両方ともめちゃくちゃ面白かったんですね。
それ以来、朝井リョウさんの小説は読みたいなぁと思いつつ、また映画化した作品も小説を読んでから観たいと思っていて結果、あまり観れてないという😅
今回は原作を読んでないんですが映画館へ観に行きました。
何故か?僕は河合優実さんが大好きで、彼女のお顔立ちの美しさ、色気、そして品の良さが素敵です!
で、彼女はどちらかと言うと普段、映画ではバイプレイヤー。そんな彼女が主演されると知る。でも朝井リョウさん原作だから小説読んでから?いやいや映画を映画館で観たいが勝ちました!
実際のところは河合優実さんが1人で主演という事ではなくて本作は4人のヒロインで構成された作品です。
明日、卒業式を控えている少女の2日間を描いています。

『桐島、部活…』でもそうだったんですけど、本作も学校の中の目立たない生徒へのスポットの当て方が非常に良いです。
従来の学園ドラマは先生と問題児にスポットを当てます。でもそれは側だけなんですよね。
パイナップルを描いてくださいって言うと🍍こんな感じです。でも実際は食べる部分はカットした果肉や果汁ですよね。
その方が占める割合は多くて学校の問題点は実は問題児よりも、クラスで目立たない生徒。彼らをちゃんと見てやってるのかな?って思うんです。
本作ではそういう生徒へスポットライトを当ててますよね。

クラスに馴染めずに図書室で過ごすのが好きな生徒がいましたね。
彼女に図書室を管理している先生がアドバイスするのが、とても良かった。
先生が高校生の時に卒業式の後に1人で学校から帰ったのが辛かった事を生徒へ打ち明けるんです。
みんなが写真撮ったり、みんなで何処かへ遊びに行ってる中、ひとりで帰宅する寂しさは容易に想像できます。
そんな彼女へのアドバイスと、その事から彼女が救われる。
こんな先生がいたらと羨ましいと思ったし、自分の高校生の頃を思い出しました。

僕は高校の時に進路相談の時に先生から「悩みはあるか?」と聞かれたんです。
高校生が悩み無いわけないですよね。
担任の先生で体育教師だったんですけど、そんな奴に本当の悩みを言うわけもないけど一応、「最近、眠れなくて…」と言ったら、「それはな、身体が疲れてないんだよ。ジョギングしろ!」ってマジ顔で言ってきた筋肉馬鹿体育教師…あいつマジで馬鹿だったなぁ…
そんな嫌な事も思い出しました。

この映画の高校生は時に辛く苦しい思いもしていますし、単純に羨ましいぐらいの青春生活を送っている少女もいる。
学校という多種多様な人がいて成り立っている事をしっかりと分かった上で作っているからこそ、4人の個性的なヒロインが活きている作品だし、面白かった。
瑞々しい高校生の生活を描いた映画だったと思います。

Heaven's doorのくだりも面白かったですね。
佐藤緋美さん演じる森崎の唄も上手じゃないけど、グッときました。
どこかのクラスにいそうな森崎の感じがすごく良かった。森崎のイジられ方も悪意のあるイジリです。でも、そんな事って世の中見てると沢山、ありますね。それを描き、感動にしたストーリーは実に素晴らしいですね。
今の世の中への風刺も効いていて感動的でした。

やっぱり朝井リョウさんの小説は読まなきゃな!今から楽しみだ‼︎と思います。