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福田村事件のもーーーのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.0
実際に1923年に起きた福田村事件の話。

自分の中の危うさに気づけた作品。

被害者と加害者双方の描写があり、日本と朝鮮だけでなく村の人間関係、水平社宣言やハンセン病、社会主義など様々な人々が登場し、個人と集団・人の命が普遍的に描かれていた。
配役も絶妙だったと思う。

様々な情報や感情を持つ個人が集団になるということはどういうことか。そして恐怖と不安は人の心を過剰にさせてしまう。
加害者には悪意しかなかったのか?
果たして真の加害者とは誰か?

(言葉は定かでないが)インタビューで「あの中にいたらどうしますか?」と聞かれた東出くんの「分からない。あの中で育ったら差別の気持ちがあったかもしれない」という答えが印象的。

差別はいけない事だと分かっていても
自分もどこかの集団に属している以上、
映画の人々と同じ心になってしまうこともある。
声がかき消されることも、良かれと思ってした言動があらぬ方向に行くことも。
正しさを貫く心よりも、
自分の危うさに気づく心の方が平和に必要なことかもしれない。

このような負の歴史にも向き合って学んでいくびき。