スワヒリ亭こゆう

フェイブルマンズのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
5.0
スティーブン・スピルバーグのオートフィクション映画です。
本作はスピルバーグ監督が幼少期に映画と出会った所から描かれていきます。
主人公サムは言わずもがなスピルバーグ。そのサムが初めて両親と一緒に行った映画館の体験が偉大な映画監督を作るキッカケになっんだと思うと何だか凄いなって思いました。
スピルバーグがいなかったら現在の映画界は全く違ったかもしれません。想像もつかないですね。
そのぐらい彼の功績は素晴らしいと思います。

そんな彼のオートフィクションはサムを通して自分自身を描いているんですが、両親への想いが込められた映画でもありました。
いや寧ろそれがメインなのかもしれません。
スピルバーグの両親への愛情と愛してくれた両親への感謝が存分に詰まった映画。
家族愛を描いた作品はありますがスピルバーグの家族というと僕も興味深く、どんな両親なのか?
しっかり観察しましたが、良心の塊の様な映画監督が誕生した理由がよく分かる。
慈愛に満ちた本作はゆっくり、そしてしっかりと心を満たす作品になりました。

何より両親のミシェル・ウィリアムズとポール・ダノが良かった。子供達を見る優しい眼差しが愛の深さを感じさせている。
それとミシェル・ウィリアムズの演技が家族を裏切る事をしてしまうんだけど、罪悪感に苛まれているのが伝わるから物凄く彼女を不憫に感じてしまうんですね。監督の母親への同情の想いもあるんでしょうが、ミシェル・ウィリアムズだからこそ、こう言った微妙で繊細な演技が出来たんじゃないでしょうか?僕は本作を観てアカデミー賞はミシェル・ウィリアムズに獲って欲しいと思いました!

高校生になりカリフォルニアで過ごした時期のプロムの場面もとても良かったです。
スピルバーグってずっとお爺さんなイメージ(僕が子供の頃から爺さん感あったんだよなぁ😂)ですが、そんな人にも青春時代はあって、そこにはやっぱり映画監督をしている青春があります。
多感な時期にユダヤ人だという事でイジメられたり、好きな女の子が出来たりします。でもその娘は1番可愛い娘じゃなくて、その可愛い娘の友達っていうのが良いですよね。そこで謙虚になっちゃうんだって思いましたね。
僕が本作を気に入ってる理由もそういう謙虚な所が見られるからです。
例えば子供が映画を撮ってるだけでも凄いのにカメラ割りから編集したり特殊効果など色んなアイディアを出して撮っている。
それを特に自慢げに見せるわけでもないのが良いです。
努力を見せないからカッコいい天才なのかな😊

文句のつけどころがない映画。こういう人間をキチンと丁寧に描いている作品はいつの時代もこれからの未来も愛される作品だと思います。
多幸感に溢れ心揺さぶる映画を撮り続ける偉大な監督はオートフィクションでも変わらず人を幸せにさせてくれます。
スピルバーグ監督に最大限の感謝と賛辞、拍手を送りたいです!
お見事です‼︎