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銀河鉄道の父のkurageのレビュー・感想・評価

銀河鉄道の父(2023年製作の映画)
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最近、重厚なもの、刺激の強い作品を観ていたのでどうかなと思っていたけど、想像以上の良作だった。

『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』など国語の教科書や夏休みの読書感想文の課題図書などで馴染み深い宮沢賢治の作品だが、自分が影響を受けたのは随分大人になってから。遠野・花巻に行ったきっかけに再読し、賢治の見ていた世界が急に体に染み込んできたのがきっかけだった。

美しい岩手の風景と、家族のものがたり。
「あめつゆとてちてけんじゃ」のシーン、素晴らしかった。
葛藤する菅田将暉の繊細な演技はベスト更新。森七菜も。坂井真紀のお母さん役も素晴らしかった。中盤から、館内啜り泣きが絶えず。自分も思わず涙が溢れてきた。田中泯、役所広司と安定の演技。
親子で観にいくのもいい映画でもあると思う。

ちなみに、カンパネラのモデル、保坂嘉内は出てこない。スッキリと親子、家族の話になっていた。

門井慶喜の小説はまちづくりや建築などを背景に、生き生きとした人間の有様を軽やかに描くものが多い。新作が出たら購入したい作家の一人だが、本作は未読。2017年発売当時、そのうちに買って読もうと思っているうちにもう6年も過ぎてしまった。最新作の菊池寛の物語も面白そうで、ううむ時間が足りない。
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