猫目

aftersun/アフターサンの猫目のレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.8
ひとシーン毎に薄いインクを落として、その積み重ねがラストに色付くような映画。一回観ただけでは難解すぎて💦これを解けってか?(誰にも頼まれてません)→2回目観た。結局答え合わせは出来ていませんが、時の人ポール・メスカルは繊細な役が似合うね。


【ネタバレあり感想】

記憶と記録がひと繋ぎになってる映画でした。時々娘ソフィの想像も入る。
冒頭から不思議な点が小出しに置いてあって違和感を持ちつつ見進めて、ソフィがカラオケでR.E.M.を歌う辺りから確信に変わりました。カラムとしてはあんな闇深い歌、大衆の前では歌えない。しかもパパがよく聞いてる曲として娘が選ぶってどんだけシュールか笑。2回目を観て、最初からそういう事を語っていたんだな、とやっと理解できました。カラムが何度も言う「覚えておいてね、忘れないで」も離れて暮らす父親として伝えたい事なんだろうなと思っていたけど、かなり意味合いの違うものでした。
幼少期に見ていたはずの親の姿が、実際に自分がその歳になって改めて見てみると全く違う印象を受けるのも、よくある事象かもしれないけど、ダンスシーンのストロボ映像を使ってソフィがカラムから自立していく姿をかなりエモーショナルに映し出していました。デビッド・ボウイとクイーンの”Under Pressure “♪が情景にピッタリで、このシーンは素晴らしかった!
ソフィがスコットランドに戻ってから起きた事、受け入れ難い思いを残しながら、それでも最後に過ごした11歳の夏の思い出を煌めきとして(ビデオには楽しい事しか残っていないから)留めているソフィの現在に切なさを残す映画でした。
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