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燈火(ネオン)は消えず/消えゆく燈火のmasayaのレビュー・感想・評価

4.0
100万ドルの夜景を誇り、東洋の真珠と賞された香港の夜を鮮やかに照らしたネオンサイン。今や法律で規制され街から消えかかっているその温かな光。ネオン職人の亡夫が作りたかった最後のネオン看板作りに挑む女性の目に映る、変わりゆく時代。香港愛と夫婦愛、家族愛に満ちている。

香港映画の人情味溢れる優しい作品が性に合ってるようで、公開されれば観に行くことが多いのだけど、最近はかつての繁栄が失われ一地方都市に埋没しかけている衰退の描写が色濃く、この映画からも声無き悲鳴のようなものを感じた。没落の不安、取り残される恐怖は他人事として割り切ることもできず。

香港といえばの夜景を作り出すネオンが失われかけていることと、失業率や移民、疫病でこの街から旧来のコミュニティが解体しつつあることがリンクする。それでも諦めずに看板を作り上げる主人公たちに、これからも燈火を灯し続ける香港っ子たちの矜持を見る。
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