柏エシディシ

燈火(ネオン)は消えず/消えゆく燈火の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
消えゆく香港のネオンサイン。
ネオン職人の夫を亡くしたばかりのメイヒョン(シルヴィア・チャン)はその失意からまだ立ち直れずにいた。そんな折、ふと訪れた夫の工房に寝泊りする若者との出会いを機に、夫のやり残した仕事を引き継ぐことを決意する。
法改正や再開発の波に飲まれ消えゆくネオン看板の灯りが、中国当局の締め付けで変わらざるを得ない香港や香港映画界の今に重なる。
香港映画を長年支えてきた大女優シルヴィア・チャンが、若い女性監督のデビュー作に共に託した想い。
自分が物心ついた時からお世話になっていた80.90年代の香港映画で見慣れた情景は、実際にはもうそこには無く、馴染みの映画スター達は世界中に散り散りになってしまった。
賢しらに時代の流れといえば、それまでなのだが、でも確かにその場所に息づいていた思い出や、そこにまだ生きている人達がまだいる。
悼む。遺す。継承する。小さな灯火が消えない様に。見守りたい。
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