ブロオー

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のブロオーのレビュー・感想・評価

5.0
面白かったです。
期待値がかなり高くてどうなるかと思ったけど、最高でした。
何人かいる主要人物がいざこざするという話だけど、その中に惹かれる人物が多くいていい。
チチはいいし、財閥の御曹司のアキンも頭が弱い感じでいい味が出ている。孔子の生まれ変わりだと思っている作家もいい人物。
夜とか暗がりを撮っていて人物の表情が見えない時間が長い。発話者の表情は見えないようにして、聞き手の方の表情だけを映しているシーンも多い。特にエレベーターでチチがミンにキレられているシーンは、チチの顔しか映していなくてけっこう嫌な感じが出ている。
ほとんどの人物がキレ散らかしていて、キレていない人やキレなくなった人たちが、生活に光を見出だして生き生きとしていくのがいい。まあ、当然の理屈かもしれないが、キレてもほぼ何の解決にもならない。
あとはやっぱり最後のミンとチチのエレベーターでのシーンはあまりにもよくて涙が出そうだった。モーリーがエレベーターの音でチチが来たのを悟るとか、アキンが相談役の男をエレベーターに詰め込むシーンとか、この映画はエレベーターで物事が進んでいく。
あとフォンは人間関係を引っ掻き回しすぎ。台風みたいだったわ。