平田一

ほの蒼き瞳の平田一のレビュー・感想・評価

ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)
4.2
エドガー・アラン・ポーといえば、直近だと『推理作家ポー 最期の5日間』やシルヴェスター・スタローンがずーっと企画を練ってるほどに、死の間際も謎に満ちた著名なミステリー作家。しかもポーは世界初の推理小説執筆者。だから彼が主人公の推理映画を観れる機会がまあまあ多かったんですね。かなり府に落ちました。

そしてポーが関わってくこの映画は面白い。ハデさはないけど魅力的なミステリーになっていて、じっくりと真相に迫る過程もとても良い。明かされる真相も“家族”への恐怖心、向き合えないことへの弱さが招いてしまった悲劇だし、“ただ一人”正気であった人の無念も哀しいです(クライマックスの先が本当の真実であったとは)…

そして素晴らしかったのはポー役ハリー・メリングです。有名なのは「ハリー・ポッター」のダトリー坊やだけど、卒業後はNetflixの「クイーンズ・ギャンビット」、ジョエル・コーエンの『マクベス』で見事な芝居を見せていて、しかも悪役も興味深い役もこなせる個性派に。今回はこの映画の真の主役と言えるうえ、映画のハートも担っている素晴らしい役回り。クライマックスで見せていた犯人への追求は、渦中の真っ只中にある元ジャニーズの(今は社名を変えているけど、敢えてここではこう呼ぶ)二人(元SMAP・木村拓哉さんと嵐の二宮和也さん)が出てた『検察側の罪人』に匹敵する名演です。

お互いに愛する人を目の前で失って、もっと早く出会えていれば、友になれたかもしれない…たらればに思いを馳せるラストシーンも苦いです… #MeToo 以降を反映したお話にも感じられる、ほろ苦く、救われない極上の映画でした。
平田一

平田一