松原慶太

あしたの少女の松原慶太のレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
3.9
映画は二部構成で、まず前半は、ダンス好きのフツーの女子高生ソヒが、学校から実習先としてとあるコールセンターを紹介され、じょじょにそのブラックな実態に気がつき始める...という話。

前半はほぼ事実に基づいているということで、非常にリアル。こういう自分の保身しか考えない先生いるよね、、こういう無関心な親いるよね、、こういう怒声の飛びかうブラックな職場ってあるよね、、と思っているうちに、部下のミスを庇ってくれていた上司が自殺。

後半になってペ・ドゥナの刑事が登場。松田優作ばりのスルドい眼光で事件の真相に迫っていく。ストレスが溜まるばかりの前半にくらべて、ようやくこの後半で観客の溜飲は下がる。

しかし、この後半パートは監督の完全なる創作。つまり、こんな刑事はいなかったのだ、と気付いて愕然とする。

ペ・ドゥナはさいきん女刑事役が多いけど、ややコミカルな人情派刑事を演じていた是枝「ベイビーブローカー」とは異なり、本作ではかなりハードボイルド寄り。
監督やペ・ドゥナの現実にたいする「怒り」を感じた。

前作「私の少女」で、ペ・ドゥナと組んでデビューしたチョン・ジュリ監督はイ・チャンドンの愛弟子ということ。
松原慶太

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