なおスコア高め

⻘いカフタンの仕立て屋のなおスコア高めのネタバレレビュー・内容・結末

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

評判の良い映画は観逃したくないし、楽しみだ
だけど、なんだか胸が苦しくなるばかりだった

「あなたは誰よりも純粋な人だし
立派な人よ
あなたの妻で良かった」

夫と彼を後押しする
死にゆくときに、死にゆくからこそこんな心境になるのかな
自分がいなくなって、1人きりにならなくてよかったと安心するのかな
今の私は、死んだあとは好きにしてくれ、くらいに思うけど

彼の着替えを見る、その視線はホンの束の間
それを妻が見とがめる
少しだけそんな雰囲気のある彼
それだけで、あー、そうなんだと思わせるのはすごい
その二人の、他の誰も入り込めない感じに
認めたくないものを認めなくてはいけないような痛みを感じた

丁寧に丁寧に手を掛けた、手作業の刺繍は美しく
日本の伝統工芸・着物の出来上がる過程と重なった
(ここからは余談となります
↓↓↓
例えば紬の柄を出すために、糸の白く残したい箇所を職人さんが1ヶ所1ヶ所縛り上げる
そこは染料が入らない
こうして、設計図通りに仕上がった糸を、今度は柄合わせをしながら別の職人さんが織り上げて反物となっていく
この気が遠くなるような行程を知ったとき、着物が高価な理由に納得がいったし
職人さんたちが高齢になって後継者不足で、産地によってはもう続けられないと聞き、本気で修行してみたいと思った
自分が着るよりも着せる方が好きで、それよりもモノ作りの方が向いてると感じているし
着物作りの、ものすごい数の行程の中に、1つくらい自分が得意で、できる作業があるかもしれないと思って)

ああ、もうひと月以上も前に鑑賞していたとは
また別のタイミングで、もう一度観てみたいと思えた