フランスの政治家、シモーヌ・ヴェイユの生涯。名前を知っている程度だったので、これほど激しく困難な人生を送ってきたのかと驚いた。刑務所内の待遇改善に奔走し、エイズ患者の話を直接聞くことにこだわり、誹謗中傷を受けながら中絶の権利実現のために火を吐くような演説をし、一つの欧州の実現に夢を託す。も映画は後半でホロコーストの場面を詳細に描く。おそらくそれは、ホロコースト否定論が今までになく力を増しているからではないか。夫の描き方にほっとする。
この映画のエンドロールにはフランスの放送局のロゴがいくつも出てくる。日本の放送局は、このような映画の協賛ができただろうか。いや、日本で大手配給でこのような映画を作れるだろうか。主人公にふさわしい人物はだれだろう。大手映画会社には市川房枝の映画をぜひ作ってほしい。この「シモーヌ」のような、骨太のエンターテインメント映画を。