螢

花咲ける騎士道の螢のレビュー・感想・評価

花咲ける騎士道(1952年製作の映画)
3.0
若く美しく、なにより快活軽妙なジェラール・フィリップをたっぷり楽しむための、ユル〜いチャンバラ系コスチューム映画。

18世紀ルイ15世時代のフランス。
ファンファンはあちこち女をたらしこむくせに責任をとらない男だけど、あるとき、ものにした女の父親につかまって強制結婚させられそうになる。
連行されている時にジプシー娘から「軍に入って王女と結婚する」と予言されたことから、隙をみて逃亡し軍に入隊。
実はジプシー娘は徴兵官の娘アドリーヌで、彼女の占いは一人でも多く入隊させるための全くのデタラメだった。
ウソだとわかっても、おめでたいファンファンは王女と結婚すると主張してむちゃくちゃな行動に出るけど…。

ストーリー展開的には、ご都合主義だし、時代背景を真面目に考えだしたら色々あり得なくてツッコミどころ満載すぎる。
そして、全体のつくりの雑さとチープさときたら。

それでも何だか観てしまうのは、チャラいクズ男なのに、溌剌とした笑顔とどこか気品ある佇まいが素敵なジェラール・フィリップの魅力のおかげという気がする。
この作品以降、彼の愛称が「ファンファン」になったというエピソードも納得の魅力の溢れ方。

この人は悲劇も喜劇も演じ分けられるし、その中で色々なタイプの最低男を演じているのだけど、下品な雰囲気が全くつかないのは、もう天性のものだと思う。
軽やかな身のこなしによるアクション・シーンも楽しませてくれる。

展開とかカメラワークとか細かいことは無視して、曇りない明るい笑顔のジェラール・フィリップを楽しむ、年代物のある種のイケメン・プロモーション映画として割り切って観たらいい作品かな、と思います。
螢