てる

ゴジラ-1.0のてるのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.5

この作品を観てから半年くらい経つ。レビューを書くのを先伸ばしにしていたらこんなにも月日が経ってしまった。
驚くべきは、半年前に観た作品が未だに上映し続けていることだ。国内で人気があったのはもちろんだが、アカデミー賞で視覚効果賞を受賞し、今もなおロングランで上映し続けている。ちなみに監督自身がこの賞を受賞するのは、『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック以来の史上2人目の快挙だそう。それが日本人というのは誇らしい。
だが、そのCGが低予算で製作されたことに海外メディアは驚いているそうだ。それってなんだか悲しい。
低い予算で売れる作品を撮る。これが今の日本の製作陣の意向だ。まさにその通りの作品を山崎貴は撮ったわけだが、そういうことでいいのだろうか。
予算をかければ良い作品が撮れるとは限らない。だけど、そう思っているのは製作陣だけで、予算がないとできないことが山ほどある。苦しいのは現場のスタッフだし、それは映像を観ていても伝わるものだ。
山崎貴が凄かっただけであって、それを他の現場にも求められやしないか心配だ。
この作品で味をしめて、低予算で映画を製作をする風潮が強くならなければいいのだけど。

なんだか、とても人情味のあるゴジラ作品だった。わかりやすい感動ものだった。普段あまり映画を観ない人や低年齢層向けの作品だと思う。

戦争とゴジラって相性が良さそう。戦争の話しにゴジラを組み合わせれば、良い作品になりそう。
確かにこの作品も面白い。面白いのだけど、どうにも苦しさや悲しさやら胸を裂くような想いを感じない。作り物であり、その域を出ていない。戦争を描いているし、確かに辛いことも悲しいこともいっぱい描かれているのに、なぜか感情移入ができなかった。それは、映像がキレイすぎるのかもしれない。戦争の時代を描いているのに、画が鮮明すぎるのだ。他にも映像の端々に作り物感が漂っている。
素直に面白いと言えなかった。

物語はシンプルだし、大団円で終わるけど、2回目はないかなぁ。

どいつもこいつもゴジラばっかり撮って、他に撮りたいものはないのかしら。
てる

てる