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怪物のRIのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

再追記部分にネタバレあり

初の是枝作品。(追記 よくよく考えたら初ではなかった。三度目の殺人観てました。)
観てよかったと心から思いました。

何が具体的に自分の琴線に触れたのかは正直まだわからないです。まだ噛み砕けていない部分と、感じたものを綺麗に言語化したくない気持ちもあり。

なんてことない場面でも何度も上映中静かに涙を流しました。こんな経験は正直初めて。
役者の方々全員すごかったですが、子役のお二人の演技が素晴らしい。2人の場面以外でそしてとても印象的だったのはミナトくんと校長の場面。
田中裕子さんすごいなあ。

いまだにラストの解釈と向き合うのが辛く怖く、先延ばしにしてしまっている。

追記

やっぱり考えれば考えるほどこの作品は、私にとっては今まで観たどの作品とも違うものだった。他の人がしているように考察するのが本来大好きだけど、この作品は同じように考察を楽しむような物語的楽しみ方ができない。湊くんは私だ。今この時期にこの作品と出会えてよかった。

再追記 ぐちゃぐちゃに考えたことを書きます。

この映画をみてから半月ほどは頭の中でぐるぐると湊くんのことを考えていました。ノベライズ版、パンフレット(と言うかわからないけど劇場で売ってるやつ)、脚本を書籍化したやつ、全部買いました。

追記で「湊くんは私だ」と記述したのは、具体的な中身は異なるけど湊くんの抱える苦しみに近いものをずっと抱えながら生きてきて、映画で色々と共感できる部分が多かったからです。
そしてそこと折り合いを最近つけたばっかりです。

ラストについて、劇場で見たときや他人の解釈に触れる前は「2人が亡くなっている」とは全く思わなかった。この瞬間だけでも解放された2人、この先どうなるかわからないけど2人は変わらず、共に強く生きていくんだと思いました。

そのあと色々な人の感想を見て、もしかしたら亡くなっているのかもという思いも強まってきました。
そうなると辛くて辛くてたまらなくて、「土砂崩れ 主な死因」と調べたりしました。
ただ色々考えていくうちに、自分に置き換えたら、あそこで依里と一緒に人生を終えるって、そんな幸せなことはないんじゃないと思えてしまうような気もしてきました。

そして、「土砂崩れ 死因」で調べた結果と映画の描写を照らし合わせた結果や、怪物という作品に込められたものを考えたら
あそこで2人が亡くなっているというのはやっぱり違うだろう、2人は生きているという考えに至りました。

初見のときの解釈に結局は戻ったということです。

2人が亡くなったという考えを改める段階で、「10代の多感で目の前の世界が全てな時期なら、辛い世界から逃げ出せるという意味で死ぬことはある意味救いのような概念。でも現実はそんな簡単じゃない。折り合いつけて生きていくことになるんだ。」って思ったことがあります。今の自分はそれに近いからです。
でも2人を苦しめるのはこういう考え方ではないかとハッとしました。

辛いことは無くならないけど、きっと2人が生きるのはそういう世界じゃない、2人はそういう選択をしない。

色々考えさせられました。見てよかったです。
手元の書籍も何度も読んで、余裕があればもう一度観に行きます。
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