Akane

怪物のAkaneのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

後半ずっと泣いてた。
感動の涙というよりも、あの社会構造や価値観の中に組み込まれてしまったら、
子どもたちが自分らしく生きていけないこと、
普通の人間が無自覚な加害者になり子どもを消耗してしまうこと、
そしてそういう世界を現実につくってしまっていることに対する痛みの涙だ。
今でも思い出すたびに涙が出てしまう。
自分/他者の交流の中で自分らしくあること、自分自身を伝える難しい社会。

登場人物の描写方法に幾許か不満はあって、トリックや演出のために歪められているんじゃないかと感じたところはある(特に担任の先生)。
100点の映画とは言い難い。
でも、いまこの時代に、このタイプの映画を、このクオリティーで出してきたことが本当に素晴らしいし、そのことに価値がある。100点ではないけど花丸です。

ここからは考察。
ラストシーン、恐らく子ども達は死んだのだろうと思う(鉄橋や立ち入り禁止の場所などなど)。
彼らは彼らだけの世界でしか彼ららしく生きることができなかったのか……と考えてしまい、個人的にかなり刺さってしまった。
校長の「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。しょうもないしょうもない。誰でも手に入るものを幸せって言うの」辺りの言葉も、ラストシーンを踏まえてみると微妙に色合いが変わる。
きっと同性婚辺りを意識したワードなんだけど……。

担任の先生がみなとの部屋に向かって贖罪をして、そこから母親と一緒に車に乗り込むところこそ、本当の救いだと思った。人はどん底でも気付いて、行動することができる。

また書き足すかも。
Akane

Akane