彼らは彼らだけの世界があり、特別な想いを馳せている 大人に侵入されたくないような大切な記憶。それらを守るが故に誰かを振り回してしまったり何か問題に繋がったり…誰にでもあると思う
でもその2人の世界を守るという純粋な視点こそがこの映画の美しさだと思う
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「簡単に言葉に出来ないと言われるのが一番嬉しい」と是枝監督が語る本作品
登場人物毎に視点を変え、それぞれの切り取られ方によって善/悪に見える物語
この2人を含め親や先生の気持ちも全て共感できる、だからこそ結局誰が悪なのか「誰が怪物なのか」という論点で話すこと自体がナンセンスなのかも…
本来羅生門スタイルの映画は、物語が進むうちに事実や答えがわかりやすく浮かび上がるというのが一般的だけど、本作は最終的に提示される答えが凄く抽象的なものになる それを映像で表現するのって本当に難しいだろうし、観客も理解するのも難しい
なにかと余白が残り、是枝監督と坂元さんからの「委ね」がずっしりのしかかった気分に…
基本的に自分はラストも含め色々とすっきりしたい派だけれど、この映画は消化できなくても別に良くて、言語化できないトランス状態の感情も大切にしたいと初めて思える作品だった
坂本龍一との曲に関して、是枝監督は
「この映画には何かを告発している以上に何かが祝福されている。僕が龍一さんの曲に助けてもらいながらラストシーンを作ったのは坂本さんの曲自体がそういう祈りだったり、人の存在に対するある種の優しい目線であったり祝福だったりということが、音楽に込められているからじゃないかと思っている」とコメントしてて
一般的に本作は構成上前半部分に持ってかれているところはあると思うけれど、とても奥行きのある、優しさに溢れた作品なんだと感じてる
是枝作品というと「社会派」のイメージはあるし実際社会問題を取り扱ってはいるものの、やっぱり色々作品観ていくと特定のジャンルにカテゴライズしたくないなと思う…社会派であること以上に彼の創る作品が大きな愛に包まれているから
そしてその表現がすごく人間的でナチュラル。是枝監督の視点そのものが優しいからなんだなあ
本当に出会えて良かった