終演近くでどの劇場も一回上映で日程調整が大変でしたが、なんとか観に行くことができました。
直接的な表現を排除し、善意で動く母と先生、とりあえず穏便に済ませようとする学校を描き、終盤少年2人にぐっとフォーカスし、そこにあるシンプルな感情を浮き彫りにしていくことで、静かに、強烈に問題提起する構成が見事でした。
帰りの電車、小さな男の子が乗車し、私のすぐ目の前で、座ることなくわちゃわちゃした後笑、隣の座席に膝を乗せ、ずっと窓の外を眺めていたのが、映画と地続きのようで印象的でした。
誰かが誰かを好きになり、両想いになる。人生で何度訪れるでしょう。一生に何度かしかない貴重な体験を、まっすぐ受け止められないのは、悲しい。
例えばそれが、思春期を迎えた義息子だとしたら、本当に悲しいわけです。自分の身近な人だとしたら?と考えること、想像力が、こうした問題の解決の糸口になるのかな。と思います。
自分には想像できないことを深く考察するのを、助けてくれるのは、いつも映画や小説などのストーリーです。
この映画は、この問題を身近に感じたことがない人に、ごくごく身近な話として考える、いいきっかけとなる作品だと思います。
ラストシーンのように、誰もが人を好きになる喜びを全開で表現できる社会であってほしいです。