Ryoma

ミステリと言う勿れのRyomaのレビュー・感想・評価

ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)
4.1
普段はふわっとしてマイペースに見える大学生の久能整がどんな時でも頭に浮かんだ疑問を迷いなく口に出す姿は、多くの人が抱える本音では言えない悩みや苦しみを遺憾なく代弁してくれているようで本当にスカッとするしまさしく英雄にも見えてくる。彼の発する言葉は筋が通っていて性格とのギャップが何回みても良い。本作では、女性への差別撤廃を謳ったフェミニズムの要素も含まれていたように感じ…女性は家で男性は外という古いしきたりに始まり、家系や血縁関係に縛られるのではなく、相手はこうだという固定観念を持つのではなく、人には人それぞれの物差しや価値観があって、他人のことを100パーセント理解することはほぼ不可能であることを前提にした上で、お互いを尊重し合う姿勢や気持ちが大切なのだと強く感じた。
随所に張り巡らされた伏線に最後まで気付かず、それが逆に推理をするのを夢中にさせてくれた。相変わらず観客を置いてけぼりにさせない丁寧な謎解きや答弁は良くて、綿密なミステリを解いていくのと同時に人間模様や人が抱える憎悪や憎しみが明るみになっていくのがこの作品の醍醐味だなと改めて感じた。ドラマ版でも感じたが、隠された真実の中にじーんと共感できる部分が組み込まれているのも本作シリーズの良いところ。
本作では、血縁関係によって生じる柵や生き辛さを痛切に感じたが、一方で家族という身近な存在の大切さを同時に感じた。
時折り流れるモーツァルトやシューベルトなどの名作曲家によるクラシック音楽もほぼ日本映画の構成としては斬新でオシャレ。舞台である広島の名所や方言、明媚な風景にも触れられて良かった。
King Gnuさんの“カメレオン“は相変わらず良くて、“硝子窓“も作風に合っていて良かった。
本作ではあまり登場シーンが少なかった永山瑛太さん演じる牙狼の動向も気になる!
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