南森まち

マイ・エレメントの南森まちのレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
2.6
火水土風の四大元素が生きる世界。火の家族がその他の3元素が住む国に移住するしてくるが…というお話。

これはヒドい。火水土風の四大元素で人種問題を表現しているお話だろう…とは予想していました。その一方で、火水土風を活用したアレコレな活劇があるよね?と期待していました。
そして予想は当たり、期待は裏切られる。

なにせエレメント要素をほとんど活かさない。ストーリーの8割は、手あかのついた「ロミオとジュリエット」形式の恋愛。その恋愛ドラマにはワクワクもハラハラも新要素もなく、人種差別を前面に押し出すものでした。何せ恋の鞘当てのキャラも、友人も登場しない。若者、二人しかおらんのかーい。
また、主人公たちにまったく魅力がない。生まれつき客商売をしているのに、すぐ客にブチギレて後で反省したフリをするヒロイン。いつもヘラヘラしていて、怒られると謝るばかりの男。まったく共感できない。彼らはお互いにどこに惹かれ合ってるのだろう?映画の後、即別れてそう。

期待していた「エレメント」要素はほぼギャグとして使われる。そして土と風はまったくのモブで、火と水の関係性ばかり。じゃあ肉食と草食の『ズートピア』で良かったんじゃないか…?
そもそもエレメント関係の説明が曖昧すぎる。「おいおい、何十年も一緒に暮らしてるって話だったのに、そんなことも試したことないのかよ」というような話が多すぎる。ストーリーの都合により、火と水の関係が上手くいったり、ピンチになったりする。
特にラストの展開はその最たるもので、前提が大きく崩れる展開。あれ、100人見たら100人が納得できないだろう。世界中のおとうさんおかあさんは、子どもが納得できる説明を求められていそうで可哀想。

そうそう、もう一つのテーマ「周囲の期待を裏切って自分のやりたい事を貫き通すのか!?」というのもあった。これもどう収めるのか結末に期待していたら「状況が大きく変わったからこうするしかないよね」みたいな消極的展開でした。はい、ここにして、消化不良は極まれり。

白人とアジア人の恋愛映画をやりたかったけど、アニメーション映画にするために火と水にしてみました!…そんな作品に見えました。素直に実写で韓国人と白人でやれば良かったのに。で、最後に監督の両親の写真なんか出しちゃったり。なんか色々ともうだめだ。
あ、映像はキレイでしたよ!すごくちっちゃな子は楽しめるかも(^ ^)