【まとめシネマ】#1070
【まとめ】
* アンバランスなエレメントシティの共存
* 世界観の都合とエンバーの癇癪
* 良し悪しの判断は、見た目じゃない
本作の世界観は「火」「水」「土」「風」の4つの元素(エレメント)で構成されたエレメントシティ。元々のエレメントシティは「火」以外の3つのエレメントで構成されており、互いに共存出来るバランスで街全体が潤っていた。そこに「火」ヒロインの父母が故郷を離れて、エレメントシティにやってくるが、差別を受ける日々を送る。それでも古い建物を発見し、雑貨店を開店し、エレメントシティに「火」の文化が生まれる。
本作で印象的なのが、エレメントシティの世界観が絶妙に心地悪い。決して平和とは言えないアンバランスな共存が、言葉に出来ないメッセージ性を強く感じる。
しかし、本作の世界観がよく分からない。
特に「火」の燃える・燃えないの判断が作品の都合にしか見えない。例えば砂を燃やしてガラスにするアイデアが光る展開があるが、燃えるはずの紙の家計簿に普通に記録している。火に限らず、元素の特性を上手に描いていない。
また、ヒロインのエンバーは、短気な性格でストレスを感じるとすぐに癇癪を起こしてしまうキャラクターだが、癇癪の原因をある自己解釈で解決してしまう。しかし、ストレスの要因は様々だと思うし、この先もまた別のことにストレスを感じてしまうのではと心配になる。物語の結末を含めて、結果的にエンバーは癇癪を解決できていないと思う。
本作は4つのエレメントで構成されており、それを「人種」のように解釈する一面もある作品だと思う。だからこそ、差別や偏見というメッセージ性も生まれると思うが、その中でも注目したいのが「水」の主人公・ウェイドの家族だ。属性が違うヒロインをウェイドの家族は、快く接しているのがとても印象的だ。
目の前の良し悪しは、見た目で判断してはいけない。
そう思うだけで、寄り添える。