マグロ

フィルム時代の愛のマグロのレビュー・感想・評価

フィルム時代の愛(2015年製作の映画)
3.4
愛と風景とストーリーと役者と。

タイトル通り、映画と愛をめぐる4章からなる実験的な作品。
一章で愛の不在な完品、二章で風景以外の不在、三章で風景とストーリーの不在、四章で役者の不在がそれぞれ描かれている(たぶん)

すごく惜しい。
試みとしてはとても面白いのだけれど、あまりにも説明過多すぎる。韓国の監督はみんな親切なのか何でもかんでも丁寧にしてしまう印象があるけど、その最たる例。観客に対して要素の全てを提示してしまうから余韻がなくなる。
四章の前半部分だけなら最高だった。


一章…精神病院を舞台にした愛の物語を撮影中、スタッフのひとりが「こんなのは愛じゃない」と異議を申し立てて、フィルムを持って失踪。画質は美麗。
これ単体で短編映画として普通に面白い。林檎のくだりは笑った。

二章…撮影に使われた精神病院の断片集。ザ・フィルム的な画質。
ボルヘスの短編集が出てきて、タイトルはやっぱり狙ってたのね、と。それにしてはガルシア感はないけど。

三章…一章の出演俳優たちの過去の出演作を映像はそのまま、サイレント映画調にしてセリフを再構成。再構成が遠慮がちすぎる。やるならもっと大胆にしてほしいところ。

四章…役者を一切出さず音声は同じまま
一章と同じようなカメラワークで撮影。ラスト付近の蛇足感がすごいが、それまでは素晴らしかった。
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