クリーム

せかいのおきくのクリームのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
4.0
面白かった!
ただ、慣れるまでえずく(笑)。初っ端、肥溜めから始まります。音の演出も想像力を掻き立て、凄く美しいモノクロなのに戸惑います。そして、何故かたまにカラーになった時がまた強烈。大切なお仕事で申し訳ないけど、排泄物の画像はキツイ。しかも音が…。でも映像綺麗だし、良い映画でした。汚物の中にキラリと光るダイアモンド的な内容です。

江戸時代末期、武家育ちながら長屋で貧乏暮らしのおきくは、寺子屋で子供達に読み書きを教えている。突然の大雨で、雨宿りに厠まで走ると、糞尿を汲み集めそれを売買している下肥(しもごえ)買いの矢亮と紙屑拾いの中次も駆け込みます。おきくと中次は、お互いに思いを寄せていました。そんな3人のお話です。



ネタバレ↓



中次は、矢亮に誘われ下肥の仕事を一緒にする様になります。長屋や武家のトイレから、糞尿を桶に入れ運び出す姿は、観ていてとても辛い。素手で糞尿を救い移すシーンには驚くけど、当時はそうしていたのだろう。人々から臭いと蔑まれ、武家のトイレでは、門番から嫌がらせや暴力を振るわれ、売り先の農家でも届けるのが遅いとか桶の中身が少ないと言われ、糞尿をかけられます。矢亮と中次は、それでも笑って謝ります。
大雨の後等、トイレが氾濫して、皆、彼等を待っているのに酷い扱いです。
おきくの父、源兵衛はある日、仕事に来た中次に「世界」と言う言葉を教え、好きな女が出来たら「世界で一番好きだ」と言えばいいと教えます。
そして、3人の侍に連れ去られ源兵衛は殺された。追いかけたおきくも巻き添えで喉を切られ声を失った。
声を失ったおきくは、長屋に戻りますが、心を閉ざし、引きこもります。
和尚と寺子屋の子供達の熱意で再び、読み書きを教え始め、中次が紙問屋から預かった紙の束を届けると、おきくは少しずつ自分を取り戻して行きます。
再び、武家の門番から、値を吊り上げられ、暴力を振るわれた矢亮は、とうとう糞尿を門番に浴びせ反撃しました。スカッとします!
最近、痩せて来たと噂の中次を気にしたおきくは、握り飯を中次に届けようと出掛けますが、途中で大八車と接触し、握り飯は轢き潰されます。
長屋の前で寒い中、待っていると、中次が、戻って来たので、ジェスチャーで説明しようとしますが、上手く伝わらず、何故か中次まで、ジェスチャーで、自分の気持ちを伝えようとします。
やがて、2人は互いの気持ちを理解し、中次はおきくさんは自分とは身分が違うが、いつか読み書きを教えて欲しいと言います。おきくは何度も頷きながら、2人は抱きしめ合います。
そして、寺子屋で子供らと一緒に学ぶ中次。林の道を矢亮と3人で、笑いながら、帰って行くのでした。

かなりキツイ臭いの仕事の中次を時に鼻を摘まむ仕草を見せながらも、それでも中次への気持ちが変わらないおきくの愛と気持ちが素敵な映画だなと思いました。中次のラストのジェスチャーは、「世界で一番好きだ!」なんでしょうね。2人のジェスチャーシーンは、良かったです。汚い仕事、声を失った辛さ、そんな中で自然に寄り添い合う3人が美しく見えました。だけど、用を足したお尻を拭いた手拭いを軽くすすいで、肩からかけるのは、さすがにドン引きだった。あれはカンベンだわ。
後、カラーの部分の解釈は、出来なかったです。

*すずきじみいさん、ありがとう☆
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