ベビーパウダー山崎

コカイン・ベアのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

コカイン・ベア(2023年製作の映画)
3.0
ホラースリラーでもモンスター映画でもなく、無意味な暴力とグロを垂れ流す悪趣味なブラックコメディ。たまたま巻き込まれた人たちが死にまくる。どの人物にも思い入れなく簡単に殺され、死体が道端に平気で転がっていたりするこの全然笑えない不快な感じが、デヴィッド・ウェインの「失敗している」コメディ(『幸せになるための10のバイブル』とか)の悪ふざけ方となんとなく似ている。そういえばエリザベス・バンクスは『ウェット・ホット・アメリカン・サマー』出身だし、この狂った(見る人を選ぶ)作家性がDNAに刻まれているのではないか。
散らばった人たちが「宝」を奪い合う構図は悪くない。クソガキもギャングもやけに生々しくて、町中のリアルありきで適当な物語(フィクション)。見ながらぼんやりと昔クイック・ジャパンで連載していた井上三太の嫌な漫画を思い出したりもした。