ヘソの曲り角

コカイン・ベアのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

コカイン・ベア(2023年製作の映画)
3.5
この作品の一番の売りとしてクマのCGがすこぶるいい。監督エリザベス・バンクス、演者にレイ・リオッタという布陣も含めてB級的題材ながらちゃんとお金のかかった作品。

それでもクマをずっと出し続ける余裕は当然ないわけで、そうなると人間パートが重要になってくる。その点についても心配はなく、恐ろしいことにこの作品は実話を基にしてるのだ。飛行機から大量のバッグにしこたま入れた麻薬を放り投げて隠蔽しようとしたら自然公園に住んでたクマが喰っちまったという途方もないバカな事実がベースなのである。もうこうなったらどんだけバカをしても問題はない。たまたま公園奥地にある滝の写生をしに来た子どもたち、イチャつきたかった公園の監視官たち、ラリってるアホども、放り投げた麻薬を回収しに来たチンピラたち、子どもを探しに来た母親、助けに来た救急隊員、事件を追ってきた警察官が入り乱れてはクマに消されるnつ巴の群像劇と化すのだった……(他にも登場人物〈犠牲者〉はいるが割愛)。途中ちゃんとチンピラ、アホども、警察官の抗争劇にもなってるのがいい。

とはいえ肩の力を抜いて家でのんびり何か食いながら見るのにちょうどいいゆるさでもある。本当にいいポップコーンムービーである。エリザベス・バンクス、新チャーリーズ・エンジェルは生真面目すぎて空回りしてたが本作はわりと演出よかったのではないかと思う。ちゃんとホラーすべきところはしてたしグロ描写もちょうどよかったし。

レイ・リオッタは本作が遺作となった。いい仕事をありがとう。