むぅ

君たちはどう生きるかのむぅのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.7
「河童とかじゃない?」

前世は何だったか。そんな話をしていた。
飲酒量や極度の雨女である事から、水にまつわるモノだろうという話になり、その飲みの席では私の前世は河童という事になった。
それならば。
宮崎駿、彼の前世は鳥だったのではないかと思うのだ。彼は"飛びたい人"だと。
今まで観てきたジブリの数々の"飛ぶ"シーン。
どれも大好きなのだが、もし私が飛べるなら、"デッキブラシ"一択。
小学校を2度転校したり、1〜3年の間に移動がある仕事だったりした事からか、私は"住む街が変わる物語"に弱い。
ジブリの中で『魔女の宅急便』に1番思い入れがあるのは、そこが関係していると思う。
気軽に始めたつもりが案外白熱する「ジブリのキャラで誰と付き合いたいか?」という話題にも「トンボ」。
(「それはむぅがメガネ好きだからじゃなくて?」と突っ込んできた友人は鋭いが)


素晴らしいアニメーションは数多くあるけれど、この絵のタッチがやはり好きで、とても落ち着く。
宮崎駿、彼の走馬灯を観せられているような気もするし、全く新しい世界を観せられているような気もする。
のめり込んで、夢中になって観たわけではなかったのだが、私なりに受け取ったメッセージは「僕はこう生きた、君たちはどう生きるか」だった。
この歳になって、自分の軸の何かを構成している作品の監督から、今改めてそんな問いかけをもらえる事は幸せだなと思う。

「本当に凄い人だな」
そう思った人が2人。
1人は主題歌の米津玄師。
もう1人は声の出演をされていた方で、エンドロールで名前を見ながら他の方はあぁきっとあの役だなとなる中、その方だけは「え?誰だった?」となり、鑑賞後に調べて「マジか!」となった。
ついでにエンドロールのフォントが、とてつもなく好みだった。

まだ販売していないパンフレット、読みたいけれど、読まなくてもいい気もする。
何年か経って、きっとまた観る。
その時は泣くかもしれないと思った。


鑑賞後、あるキャラクターを思い学生時代によく行ったとあるチェーンの居酒屋が無性に懐かしくなるあたり、所詮私は絶対黄桜のCMの影響もあっての河童な"飲みたい人"で、"飛びたい人"の心の世界の広がりを思いながら外に出た。
その途端の激しい雷雨。
飛べないけど、この雨は今作が私の琴線に触れたから降ってるんだと河童は勝手な事を思った。
むぅ

むぅ