こぅ

さよならミス・ワイコフのこぅのレビュー・感想・評価

さよならミス・ワイコフ(1978年製作の映画)
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マーヴィン・J・チョムスキー監督による、
【社会派・ドラマ】。


1954年、カンザス州の小さな町の女高校教師イヴリン・ワイコフ(アン・ヘイウッド)は、才色兼備のキャリア・ウーマン。
しかし、幼少時に両親の不和を目撃したことが原因なのか35歳にして未だ処女であった。
ある日の放課後、教室に居残っていたイヴリンはアルバイトの黒人青年、レイフ(ジョン・ラファイエット)にレイプされる。
陵辱を受けた彼女は、初めて知った性の歓びに自ら溺れていくのだった…。


・批判
玄関のコンクリートにチョークで書かれたイヴリン教師を批判/非難する 痛烈な落書き は、短いアヴァンタイトルでフラッシュフォワード的に いきなり 登場させる事により、本作は普通の教師物語を否定、或いは人種差別絡みの内容だと観る者に提示し、構えさせている。


・イヴリン・ワイコフ
35歳で優秀な美人教師。
今まで恋愛経験も婚歴も無いバージン。
ヘミングス夫婦の家に同じく教師のベス(キャロリン・ジョーンズ)と共に下宿。
鬱病で情緒不安定。
ウィチタにあるスタイナー先生(ドナルド・プレザンス)の精神科にバスで通っていた。
その時に妻子持ちの運転手と恋仲になったのだが、、
性格は、優しくて真面目だが、意地もしっかりある。
このキャラなくして本作は成り立たない!


・良心の呵責
本作は、
鑑賞前に 勘違いされるような 教師の愛欲 をメインとした軽率な内容では無く、人種差別を訴えた作品に違いないが、劇中ではイヴリンを一方的に軽蔑/非難して味方はいない、裁判も無いという酷い扱い(これこそが人種差別の強調)にし、全容を知る観る側には、同情を誘う、レイプにより黒人青年だけを悪人にするようなステレオタイプな脚本にはしていないのが本作の本質。


・睡眠剤/意地
カンサスを離れる前に荷物を纏めに部屋に行くと、、
この時、イヴリンは手に持っていた小瓶いっぱいの睡眠剤を、、彼女が感情を初めて露わにする印象的且つ重要なシークエンス。
続いて、ヘミングス夫人に対する態度(意地)。


・タイトル/締め
注視すべきは原題と邦題で、大分意味合いが変わってくる。
邦題だと処罰や終わった/見放した印象に。
原題からは、本作(イヴリン)の未来に 応援/希望 を持たせた締めにしているのが窺える。
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