このレビューはネタバレを含みます
未体験ゾーンの映画たち
ポーランドの田舎町で4歳の幼女ウーラがロシアへ誘拐される。犯人を取り逃した刑事ゴッグは強い責任感と罪悪感からウーラの行方を捜査する。
ロシア、ウクライナ、モルドバ、タイ。
人身売買、幼女売春、悪魔崇拝、あらゆる組織を巡る10数年…。
ゴッグは精神汚染により消耗し、ウーラは洗脳と歪な欲望に晒され、本来の自分を見失っていく点が本作の肝というか、胸くそ度を爆上げしていて面白いところ。
心理療法士が語る「最初から幼児性愛者だった者はいない。ある時、突然そうであったことに気づくのだ」という話がゴッグに重くのしかかり、彼の答えと顛末へと向かわせる展開が酷すぎる。一方、ウーラは少しだけ希望を感じる結末で胸を撫で下ろした。
東欧女性が西欧で性産業に従事するというのは実際にあるのだろうし、そこに国を超えた犯罪組織同士の繋がりもあるだろうけど、この物語がどれほど現実味のある話なのか定かではないが、深刻さと緊迫感を持続させ惹きつける力作ではあった。