リプリー

岸辺露伴 ルーヴルへ行くのリプリーのレビュー・感想・評価

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
4.1
色々思うことはあったが、ドラマシリーズ含め完全に高橋露伴のファンになっているので、ほんの少し上乗せしてこの点数。

ドラマ版の感想でも書いたが僕はジョジョ弱者で、ドラマ版にハマってから原作「動かない」全2巻を読了した。
なので、本作も原作を読む前に鑑賞。

ドラマの映画版、しかも海外舞台となると、表面上だけきらびやかで中身はスカスカになるのでは…という不安は正直あったが、それは杞憂に終わった。
それはドラマ版に引き続き作り込まれた衣装と美術、そしてフィクショナルなキャラクターに命を吹き込んだ役者陣の功績が大きいと思う。インタビューなどを読んでも、作り手の原作リスペクトと意気込みには嫌というほど伝わる。それでいて、原作の要ともいえる「スタンド」の描写をカットしたという実写にあたっての英断もしている。
奇跡的といえるバランス感覚だろう。

で、色々思うことがある、と書いたがこのバランス感覚で僕は飲み込みづらい部分があった。
このフィクショナルなキャラクターと、中盤にある絵画を巡る王道ミステリに若干の食い合わせの悪さを感じたのだ。
さらに後半部の謎解きパートになると、何だが別の映画を見ている感覚にすら陥って居心地が悪かった。
ストーリー面では、いくらなんでも説明し過ぎで野暮ったさを感じた。ドラマ版でもそれはあったがやはり2時間の映画の後半部にそれが集中すると、さすがにやり過ぎ感がある。
あと、蜘蛛を使った演出ももう少し意味があったらな、とか、その人が露伴のルーツ的なオチって関係なくないか?とか突っ込みどころもあった。

と、ここまで貶したが基本的には大いに楽しんだ。
クライマックスのホラー演出は、光るものがあったし、凝りに凝ったカメラアングルはかっこいい。キャラクターは相変わらず愛せる。シーズン4も作って欲しいと素直に思った。傑作だと思います!