順風満帆な人生を送っていた男が、とある事故により四肢麻痺になってしまう、実話ベースのヒューマンドラマ。
ラストは奇跡的に回復して、再び歩けるようになる……なんてことにはならないというのが邦題で盛大にネタバレ。
今に始まったことではない邦題のひどさはまあ置いといて、映画自体は主演のアーロン・ポールの迫真の演技も相まって良作。
感動の押し売りや説教臭さは微塵もない。主人公の不自由への苛立ち、元の体に戻れないことへの絶望、そして世話をする家族の気苦労等々が大げさな抑揚などほとんどなく描かれる。だからこそリアルであり、もし自分が主人公の立場になったら、あるいはもし自分の愛する人が主人公のようになったらどうする? 何ができる? と、深く考えさせてくれるし、手足が動かせるという当たり前のことへのありがたみを改めて実感させられる。
個人的には、主人公にとってはあのロシア人の女性ヘルパーの存在が大きかっただろうなと思った。あの人がいなかったら、このような結末にはならなかったんじゃないかと思う。
ラストに、主人公のモデルとなった人物のその後や写真が紹介されるが、かなり意外性があって、少し驚いた。
余談
本作にはトム・サイズモアが出演してるけど、彼、2月18日に脳卒中で倒れ、能動脈瘤を発症してしまい、もう回復の見込みがないそうで、ものすごく悲しい。