ろく

ギネスの女房のろくのレビュー・感想・評価

ギネスの女房(2006年製作の映画)
3.8
城定のおなじみ艶笑譚。

最後にスカッとさわやかで「セックスしていてよかった~」(©織田裕二)みたいに幸せな気持ちになれる。この優しさは城定映画ファンの自分としてはありがたい。

そもそもハイデガーは「生」を本来的と非本来的に分けたのよ。で、本来的とは人間を「死ぬ」ものとしてとらえるべきだという「無限に続く」ものではないという認識の変化なんだ。

それをこの作品に換骨奪胎するならば「性」を城定は「本来的」と「非本来的」にわけるんだよ。「性」はいろんな打算や知恵、あるいは上下関係、道徳なんかで「区切る」べきではないの。そう、結局「お前と一緒に気持ち良くなれればそれでいいんだ」そこに持っていく。そしてそれはいつまでも残るもの(ギネス)ではなく、単なる刹那で顕在するものなんだ。その「瞬間」こそ尊いわけで。最後のシークエンスで、二人で「イってしまう」シーンで不覚にも涙が出てしまった(ウソ)。これは解放ですよ。性により僕らの「しがらみ」は全部色褪せたものになるんですよ(ちょ、褒めすぎ)。

謎のギネス審査員がなんとも面白く声を出して笑ってしまった。あいつなんなんだよってね。箸で爆笑するシーンはなぜ挿入されたかわからないまま笑ってしまった。

「隣人ポータビリティ」とセットの作品なんでそっちも見ることおすすめしたりして。ああポンコツ映画だけど満足ですぜ。
ろく

ろく