erina

赦しのerinaのレビュー・感想・評価

赦し(2022年製作の映画)
3.6
娘を殺された遺族と、当時17歳で人を殺めた加害者の物語。
被害者と加害者の立場は明確だが、
加害者が心中を明かすことで
徐々に双方の立場の境界が曖昧になっていく。

赦すという行為によって、
父親は長年囚われてきた負の感情を手放す。
流れ出る赤い血は赦すことに伴う痛みと、それでもなお生き続ける自分自身と否応なく対峙させられる残酷さを露わにする。

本作は、憎悪の感情を生きる糧としていた父親を描いた。自身の感情に固執することへの危うさを訴えたが、加害者へ向けられた父親の眼差しに目を背け、冷淡に攻め立てる弁護士もまた印象的だった。

秩序で塗り固められた法廷の中で起こる
普段直視することのないこの現実は、
いかに私たちが法で裁く人間に
全てを委ねているかを実感せざるを得ない。
よくニュースで耳に入る「情状酌量の余地」。
その裏側で苦しい現実を受け入れ、赦そうとする人がいるのかもしれない。

---
判決時の父親のスーツは
加害者が着ていた舎房着に似たような青で、
自己の悪を認め、向き合うことへの意思表示ともとれるなと思いつつ、
急にふっきれて清々しさ全開のようにも見えてちょっと違和感…🤔)
erina

erina