アキラナウェイ

ペイン・ハスラーズのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ペイン・ハスラーズ(2023年製作の映画)
3.8
エミリー・ブラント、クリス・エヴァンス、アンディ・ガルシアという強力なキャスト陣。このクオリティの作品をぶっ込んでくるからNetflixはやめられない。

ストリップ・ダンサーのライザ(エミリー・ブラント)はピート(クリス・エヴァンス)の誘いでZANNAという製薬会社に入社。極めて強力な鎮痛薬"フェンタニル"をベースにした末期ガンの鎮痛剤"ロナフェン"と呼ばれる新薬を売り込み、巨額の富を得るが—— 。

多くの方が仰る通り、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の如き乱痴気騒ぎ。シェアが0%から86%まで急拡大した製薬会社の渦の中にいれば、そりゃさぞかし気分が良いだろう。

エミリー・ブラントがストリップ・ダンサーとは…。何も持たない女性が自らの実力で成り上がる様子は「エリン・ブロコビッチ」的。

クリス・エヴァンスは、キャプテン・アメリカの生真面目なイメージをどんどん引き剥がしていきたいのだろう。「ナイブス・アウト」の如きテキトーなキャラを楽しみながら演じている。

アンディ・ガルシアは、格好いい歳の重ね方をしているなぁ。

エミリー・ブラントもクリス・エヴァンスもアンディ・ガルシアも、腹の底から声を出し、感情を爆発させる瞬間がそれぞれにあって、彼らの演技力に惹き込まれる。

飛ぶように売れていく"ロナフェン"。
しかし、ライザは"ロナフェン"によるオーバードーズが想定以上に頻発している事に罪悪感を覚え、内部告発を決意する。

鎮痛剤オピオイドによる中毒者を出した医療詐欺事件。実話ベースで製薬会社の闇を暴くという大真面目なテーマ性をライトに明るくエンタメ性を爆発させて描くという、絶妙なバランス感覚が本作の売り。

儲かる業界なんだろうけど、人の生き死にに携わっているという最低限の使命感が欠落してしまうと、途端に恐ろしい事態に陥ってしまう事がよーくわかる良作。