akkimama

マエストロ:その音楽と愛とのakkimamaのレビュー・感想・評価

4.2
予告を見た時点で、ブラッドリー・クーパーがもうレナード・バーンスタインにソックリであることに仰天…そしてキャリー・マリガン演じる妻との会話場面や指揮をする場面の断片だけで何やら感動で胸がいっぱいになっていたのだけど、本編を見て、その期待をさらに大きく上回る深い感動を覚えた素晴らしい作品!Bクーパーの主演+監督、心底恐れ入りました。バーンスタインは「ウェストサイド・ストーリー」などアメリカらしいミュージカル・映画音楽でも有名ながら、20世紀クラシック音楽界でアメリカ人で初めて世界的指揮者・作曲家・ピアニストとして知られたスゴイ人。その彼の、音楽的偉業というよりも、女優であったフェリシア夫人との夫婦との家庭生活を主軸にした深い深い人生の物語でした。元々クラシック音楽が好きな私としては、これまで写真や映像で知るバーンスタインは、「クラシック音楽」という堅苦しいイメージからは遠い、パワフルで喜びと愛に満ちた人間らしい音楽を作り出す指揮者、という印象だったのだけれど、本作で、彼が同時に抱えていた悩みや苦しみ、孤独や不安といった別な面を知ることができた。自身の幅広く豊かな才能(創作者であるとともに演奏者)の中で、人間として、夫として、芸術家として、様々な顔を持ちながらバランスを保ち続ける大変さは、凡人からは想像もつかない。色々ありながらも、結果的にその彼を支えて共に生きた妻フェリシアもまたスゴイ人でした。ドラマに絶対的な説得力を与えているのが、とにもかくにもバーンスタインの演奏シーンのリアリティ!エリー大聖堂でロンドン響とのマーラー:交響曲第6番《復活》を振る場面はもう圧巻!脱帽の一言に尽きます。
akkimama

akkimama