chunkymonkey

Spinning Gold(原題)のchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

Spinning Gold(原題)(2023年製作の映画)
2.5
キッスやドナ・サマー、ヴィレッジ・ピープル(YMCAのやつ)を世に送り出したカサブランカ・レコードの創設者ニール・ボガートの音楽伝記映画。ブロードウェイ版「ニュージーズ」で知られるミュージカル界のスター俳優ジェレミー・ジョーダンを主演に迎え、音楽伝記映画史上まれにみるハイレベルな歌のパフォーマンスを、音楽伝記映画史上まれにみる盛り上がらない演出が台無しにしています... これはもうほぼ放送事故レベルでうーん、とりあえず笑うしかないって感じ🤣

とにかく全てが駆け足で細切れ。じっくり味わいたい素晴らしい歌声も、イケイケに成功してワクワクを楽しみたいシーンも、うまくいかずにしんみり共感してあげたい場面も、異常な頻度で挿入されるダラダラ説明的な主人公のナレーションや場面の切り替えに邪魔されて盛り上がることなく速やかに強制終了... 意図としてはニール・ボガートやカサブランカ・レコードの影の部分(が大部分なのが実情)をさらっと流したかったのだと思いますが、こんなに最初から最後まで世界観に入り込めない音楽伝記映画は初めて。

世界観に入り込めないもう一つの理由はヘアメイクのひどさ。主に1970年代が舞台ですが、ヘアメイクはどうみたって2020年代仕様。時々、70年代風にしているようなしていないようなって感じです。次から次へと出てくる歌手の皆様は、ドナ・サマー始め歌はめちゃくちゃ上手いけど、誰一人として似てないというか似せようとさえしていない。音楽伝記映画で出てくる人がそっくりさんである必要はないと思うが、ちょっとこれはさすがにないわー。

子供時代を演じる男の子これ知ってる顔だなと思ったら「シング・フォー・ミー、ライル」の子だ!音楽シーン含め音響処理はすごくこだわりを感じたけど、街の背景音などが無駄にいろんなスピーカーからバラバラに聞こえてきて、なんか映画の出来が全体に雑なのにそこだけ異常な頑張りで"???"となりました...

唯一気持ちが入り込めたのはエンドロールの本人映像インタビュー、ってそれならドキュメンタリー映像で十分。歌はどれも一瞬過ぎて全然味わえなかったものの間違いなく素晴らしかったので、サントラはSpotifyで今から楽しんで映画のがっかり感を取り返したいと思います。

予告編
https://youtu.be/son1-qzEvUM
chunkymonkey

chunkymonkey