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パスト ライブス/再会のhrmのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.9
タイトルの「PAST LIVES」は「前世」という意味だそうです。
ノラ一家の海外移住により離れ離れになった、幼馴染のノラとヘソン。
ふたりの心情や生活の変化を、12年後、24年後(現在)を舞台として丁寧に描いた愛のおはなし。

ノラ、ヘソン、ノラの夫アーサーそれぞれが、自分にも他者にもとても誠実だと感じた。
なるべく人を傷つけない形で自分の想いを言葉や行動で表現し伝えている。
ラストシーンでノラから溢れた感情は、夫への「ごめんなさい」と「ありがとう」かな。
アーサーの人間性が素晴らしい。
優しすぎて心配になるくらい。

過去断ち切り思考の私は、観ている最中「それってただの執着では?」と言う思いもあってなんとなくすっきりしない気持ちでいて、観終わってからはもやもやとあたたかい何かの余韻を味わってる。

テーマのひとつになっている輪廻転生や縁は仏教的な考え方だから、それが日本での評価にも繋がっているのかなとも思うし、私自身ももっと縁を大切にしようと背筋が伸びた。

綺麗だけでは終わらない、印象的なカットが多かったところも良かった。
ヘソンがタクシーから降りて宿に入って来るシーン、ノラとアーサーの出会いのシーン、バーカウンターでヘソンとアーサーが話すシーン(BGMでどんな内容の曲がかかっていたのか気になった)、ノラとアーサーの家で開いた扉の先を映すシーン。
バーでノラとヘソンが話す場面(アーサーのいろんな意味での疎外感MAX!)は、王家衛みたいだった。

まだ観終わって2時間くらいしか経っていないのだけど、これからいろんな方の感想や考察を読んだり聴いたりして余韻が変化していくのが楽しみです。
もっと年齢を重ねてから、また観てみたい映画でもあります。
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