水蛇

ゴッドランド/GODLANDの水蛇のレビュー・感想・評価

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)
3.7
宗教観というか罪と救いの概念がドストエフスキーぽい。ラグナルの傍白なんて特に。

近づいてくるアイスランドを機内から見下ろして、ほんとにここに降りるの?ってちょっと焦ったことある。二度と帰ってこられなさそうな大地で、村みたいなレイキャビクに咲いてるたんぽぽさえわたしが慣れ親しんだ風情をしてなかった。さらに外の人間にとっては暴力的な白夜。それまで自然に呑まれるような畏怖を感じたことは何回もあるけど、「負ける」と思ったのは初めてだった。21世紀の旅行客でもそうなんだから、頑ななだけにいっそう脆い19世紀のルーカスが試されるのも無理はない。しかも植民地支配というパワーバランスもあるし。それを映しとったおののくほど端整で底しれないこの映像には舌を巻く。

映画としてはおもしろいし先述のドストエフスキー風の味わいも親近感あって好きだけど、こういう類の視野の狭さや幼さにシンクロする余地がわたし自身にあんまりないせいでそれ以上ふみこめなかったな。わたしの人格が優れてるからとかじゃなくて、わがままのベクトルがちがっててわかりあえないという意味で。ルーカスが無理に河を渡ったせいなのに「思し召しだった」とか宣うあの感じ。

アンナ、「ミス・オオサカ」の彼女とは最後まで気づかなくて興奮した。
水蛇

水蛇