ユウサク

マグダレーナ・ヴィラガのユウサクのレビュー・感想・評価

マグダレーナ・ヴィラガ(1986年製作の映画)
4.0
先にパンフ読んで「ブレインウォッシュ〜」で大量の情報を浴びせられたうえで見ちゃったので、驚くことはそんなに出来なかったかもしれない。でも良かった。最近はバッドコンディションで見てしまったら初見とカウントしたくない気持ちが強いので、かなり疲れた状態で見たこれも、「クイーン・オブ・ダイヤモンド」と共に必ずBlu-rayで見返してその時の感想を大事にしたい。そのうえで。

「存在したい」と「存在したくない」が永遠にせめぎ合う。誰が「存在したくない」と思わせるのか。何度も描かれる仕事のシーンは途中から惨すぎて目を背けてしまった。しかし「お前(主にシスヘテロ男性)も経験しろ」という時間なのだから逃げることは出来ない。ミステリーにしないための工夫というか、そもそもなりようがないというか、主体性に限りなく肉薄しようとする構成。概念上の「シスター」たちと綴る怒り、怒りそのもの。想像力に制限をつけず、あらゆる可能性を想定する。
「クイーン〜」と比べて映像で語るというよりは観念的なセリフの割合が多かった気がする。自分たちに言い聞かせているようにも、こちらに投げかけているようにも思えるトーン。もちろん発火、ロングショットなど鮮烈な映像で語りかけてもくれる。あと音楽がなくて良い。基本音楽は要らない。もっと注力すべきことがスクリーン上にはたくさんある。
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