押井守の実写映画もいくつか観たいと思い……。といってもこれはある意味単純な実写映画ではありませんでしたが。
人々が「Avalon」というVRMMO(=仮想現実オンラインゲーム)に熱中している荒廃した遠未来を舞台に、凄腕女性プレーヤー、アッシュのとある探索行を描く。
今では似た設定のフィクションがいっぱいあるので特につまずくことなくスッと話に入っていけました。当時としてはわりと先駆的だったかも。
ストーリーもありますがこの映画の一番の見どころは画面そのものだと思います。ポーランドで実際に撮った映像にいろーーーいろ手を加えることで、現実世界とは全然別の世界の手触りを生んでいます。画面は全体的にくすんだセピア調。場面に応じてちょっとモヤってたり、光と陰の感じも細かく調整されてるっぽい。同じく俳優の顔や動きもいろいろ取ったり付けたりしている模様。CGのみで作った部分もおそらくあると思うのですが、どこから人造、どこから天然なのかもう分からないぐらい。結果的にVRゲーム内の世界や退廃した未来世界という「異界」がきちんと立ち上がってくる感じが自分はかなり好きでした。
……なのでこの作品単体ではこれでいいと思うのですが、出来上がった映像がそれこそ超リアル調のテレビゲームの画面とすごく似たものになっているのはちょっと気にならなくもない。たぶん公開当時はここまでテレビゲームは「進歩」してなかったと思うけど、今だと類似した感触の映像がゲームで観れてしまうのでウーンという感じ。というのもこの映画はそうした加工された世界の感触を手に入れるのと引き換えに、写したものは何でも否応なく写り込んでしまうという実写ならではの最大の特徴を捨ててもいるので……。このへんは技術の発展過程を自分が全然知らないのもあり、難しいところです。
あとはなまじアニメ作品のほうに凄く良いものが多い作家なので、そっちの自在さと比べるといかんとも……というところはあります。
でも作り込まれたものを観せてもらえてる感じが終始あって、自分はけっこう好きでした。
ストーリーに関するネタバレ感想をちょっと付け加えときます。