やわらか

アリーテ姫のやわらかのレビュー・感想・評価

アリーテ姫(2000年製作の映画)
4.3
新文芸坐の片渕須直特集オールナイトで。「この世界の片隅で」で監督を知り、「マイマイ新子~」は別の劇場観れたけど、この作品だけは観る機会がなくて待望の鑑賞。
 
最近2作と比較すると明らかに一世代前のフィルムアニメ映画という雰囲気だけど、全体の質感はとても上品で、ストーリーの芯がしっかりしてて良かったー。フェミニズム童話として有名(らしい)原作は未読だけど、たぶん魔法が現代文明の遺産っぽいところはオリジナルだよね?
 
上映に先立ち行われたトークショーでは、監督がこの映画のコンセプトを「人の心を描く」とおっしゃっていた。主人公アリーテの自立して外に向かう姿ってとても新鮮だし、2017年の現在でも価値があると思うけど、こういうストレートな映画を今撮るのって難しいだろうな。
 
中世的な風景・街並みは、自分の知識の範囲だとやっぱりナウシカとかラピュタみたいなものを思い出してしまうけど、どちらかというと「ルパン」「未来少年コナン」とかジブリ以前の作品から分化した別のものなんだろうね。都市と辺境それぞれで、近代ではない時代感を表現していた千住明さんの音楽もとても良かった。
 
片渕監督には、またこういった近現代日本以外で、この名前のないジャンル(トークショーで「売れ線ではないけど幅広い世代に向けたアニメーションに邪ルンる名を付けたいと思って活動したけど、結局決まっていない」という話をされていた)の作品を作って欲しいな。
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