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ジョニーのkuuのレビュー・感想・評価

ジョニー(2022年製作の映画)
3.9
『ジョニー』
原題 Johnny.
製作年 2022年。上映時間 120分。
社会から見捨てられた人々を救うために尽力した、有名なポーランドの若き司祭、ヤン・カチコフスキーの生涯に基づく、感動に満ちた伝記ヒューマン映画。

裁判所命令により、 ホスピスで働くことになった元犯罪者パトリク。
そこで出会った心優しいヤン神父との友情が、やがて彼の人生を変えていく。。。

今作品は見始めは時間の流れがよくわからず、パトリクのナレーションが注意を一方向に向けさせようとしすぎて、ちょっとバラバラな感じはした。
しかし、物語全体から切り離し、2人の主人公が耐え忍ぶ一連のエピソードとして鑑賞すると、すべてが最高潮に達する頃には、かなり感動的な経験をさせてくれた。
善良な人が悪いことに巻き込まれ、さらに善良な人が介入することで、本当の自分を発見し、それを世界に伝えることができるという、昔からある物語とは云える(『レ・ミゼラブル』など)。
どんなに陳腐でも、これは完璧な公式であり、今作品はそれを正確に実行する故に泪なしには観れない。
パトリクは贖罪に値するんか?
ヤンは本当に見た目通りの聖人なんか?
そないな疑問を抱かせることはない。
間髪入れずに次から次へと出てくるので、脚本に疑問を抱く余地もなければ、じっくり考える時間もない。
なぜなら、今作品は、パトリクが、愛することが最も難しい人々や、それを返し続けるために長くは存在しない人々を愛することを学ぶことで、自分自身を愛することを学ぶというものだからです。
どの場面でも、パトリクは、ホスピスケアに携わる人たちがどのようなものなのか、新たな教訓を得ると同時に、彼の性格を和らげ、応援せずにはいられないような人物に形成していきます。
それは演じるピョートル・トロヤンって俳優さんお見事なほど演じきってるし巧い。
今作品全体があまりにも健全やし、これ以上ドラマチックな展開があると、メロドラマのように感じて台無しになってしまうかもしれない。
ヤン神父は末期の脳腫瘍で死期が迫っているが、病気が進行しても、それを演じるのにどれだけ体力が必要になっても、演じるダヴィド・オグロドニクはどの場面でも理性、慰め、希望の声を発するという立場を貫くことができてた。
撮影は特別なものではないが、オグロドニクがスクリーンで演じる最後の瞬間、いいね!押すとこあったら連打してたかも!位善かった。
ラストで明らかになる実在の神父をモデルにしたこの男は、まさに世の中にもっといてほしい、自分ももう少し彼のようになろうとすればできるはずだと思わせる人物かな。
今作品は、シンプルやけどインパクトのある映画でした。
ドラマや陰謀を盛り込もうとはせず、ただ、苦難に耐え、人生で最もつらい責任のひとつである死にゆく人の世話に取り組む2人の善良さが物語を語る善き作品でした。
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