ねむろう

旅するローマ教皇のねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

旅するローマ教皇(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_197


夜が明ける頃、私は祈る
日が沈む頃、彼は祈る
遠い場所で、または額をつき合わせて


【簡単なあらすじ】
ローマ教皇の旅――2013 年のランペドゥーサ島から始まり、2022 年のコロナ禍のマルタ共和国まで。難民問題、 紛争に苦しむ中東やアフリカ、アメリカでは平和について語り、被爆地である日本では黙とうをささげ、カトリック教 会で起きた性的虐待については謝罪する・・・。「旅とは知的で精神的な修行だ」と語る教皇は、世界各国へ足を運び、 笑顔で手を振るだけでなく、市井の人々と触れ合い、話を聞き、夢見ることの大切さを伝える。垣間見える明るく飾らない人間性。様々な世界の問題に耳を傾け、語る教皇フランシスコの言葉は、現在の社会情勢を映し出し、私たちの心をゆさぶる――。



【ここがいいね!】
現ローマ教皇・フランシスコが、就任をして10年。その中で、様々な国や地域を訪れている様子を追ったドキュメンタリー映画。
彼が様々な場所に赴くということが、世界で起こっている貧困や紛争、宗教対立など、様々な問題を浮き彫りにしている映画だなと思いました。
そもそも、フランシスコ自身がローマカトリックを代表する人物であるというところに、旅そのものが、非常にメッセージ性を帯びているのだと思います。
そんな中で、イスラム教の地に赴いたり、キリスト教の名において民族浄化が行われてしまった場所に赴いたりと、過去の痛み一身に背負おうとすること自体に、彼の旅の意味があるのかなと改めて思いました。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
パンフレットにも訪問の略歴があり、たくさんの場所を訪問していることがわかります。
そして、映画の中では2019年に日本に訪れた映像もありました。「広島を訪問し、祈りを捧げた」とあるのですが、作品の中では一言もしゃべらずに、原爆とその被害に遭った人々のカットが挿入されただけで終わっていました。
日本人だからという特殊な感情ではありますが、残した言葉をちょっとでも作品の中に入れてもらえると良かったなと個人的には思ってしまいます。



【ざっくり感想】
世界が連帯すること、つながり合い痛みを共にすること、喜びを共にすること、といった強い意志のもと、旅という形でそれを体現をしている姿は、これまでの教皇とはまた違ったメッセージ性を持った人物のように思います。
そして、それを歓迎する人も拒否する人もいるわけで、宗教という一つの枠組みの中でも、たくさんの意見のすれ違いや軋轢がある中で、世界の連帯を実現しようとする行い自体には賛同したいですし、これからも見守っていきたいなと個人的に思う作品でした。
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