Jeffrey

情炎のJeffreyのレビュー・感想・評価

情炎(1967年製作の映画)
3.8
‪「情炎」‬
‪冒頭、鎌倉の円光寺。石階段を上る着物姿の女性。男女の語りが始まり、夜の海岸へドライブ、踊り、服を脱ぎ、水の中へ。夫の浮気相手、話合い、覗き、夫の尋問、離婚話、遠望で佳絶…本作は吉田喜重が直木賞作家の立原正秋の原作“白い罌粟”を脚色し描いた女の性を巡る物語で、妻の美貌を対外的に利用する目的だけの結婚は既に破綻状態。旦那の隆志は愛人を連れ週一で自宅に帰ってくる。妻の織子は夫の妹である悠子と二人暮し。ある日、夜のドライブ先で土工と情事を楽しむ悠子を覗き見し、性の衝動を感じる。そこから純粋な愛を育む為に様々な出来事が起きる…いや〜良くも似たり寄ったりのテーマで四作も撮ったなぁと思う。舞台が鎌倉なだけに江ノ電の使い方が素晴らしく、彼にしか無い発想だ。それと吉田は男性に対しての不満を本作に見せてる。林をスライド撮影して、女を暗い木々の影から捉えたり、嵐を呼ぶ十八人や水で書かれた物語もそうだったが、ローアングルで撮る独特性が本作にもある。トラックに轢かれた婆やの姿を荷台から数人降りて覗き込むシーンやトラックの後姿を描写した場面は印象深い。ほぼ左右対称な樹々の道を歩く岡田茉莉子の着物姿が妖艶で池野成の音楽が凄じく響き渡り、モノクロームのコントラストの調整が素晴らしく金宇満司の巧みな撮影が光る。また古びた納屋で男に身体を狙われ許す女と男を扉の窓枠に収め、それを全体的に映す場面はやはり吉田映画の真骨頂だと。またシンボリックな日傘や線路、環境音楽を敢えて無くし音楽だけを強調し、天の声風に男女を語らせ、画は岡田が行く街や荒涼、室内を淡々と捉えるこの前衛的かつ規格外の発想が本当に蠱惑性に満ち、前作同様に映る。そしてまた岡田茉莉子の美しい頸がゆっくり前進するカメラに収められて行く…道端に横たわる岡田や肌を密着させるシーン走り去る列車越しに映る彼女の表情が憎みながらも溺れ躰を鎮める男に身を解放して行く女をな存在と渇きを見事に見せた傑作だ。‬ ‪本作の岡田のヘアーデザイン最高だ!‬
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