北斗星

さらば、わが愛/覇王別姫 4Kの北斗星のネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます


映画館で観るのは初めて。
今まで確か2回観ている。若い頃初めて観た時は衝撃的だった。


まるで全編舞台を観てるかのような感覚。演じている俳優たちの演技も一幕一幕とにかくすごい緊張感と迫力がある。どうしたらこんな演出ができるのか?
あるシーンを撮ったあと舞台が暗転したり、京劇養成所の生徒と師匠をローアングルで撮ったシーン。皆が横並びで目線が下を向いていて画面も暗く、恐怖を感じる。


撮影されたのが30年前だからか、かえって光が柔らかく、全体的にフォギーがかかっていて映像がとても美しい。
そして色彩感覚がやはり素晴らしい。なかでも赤がすごい。
色とりどりの衣装も勿論だが、特に印象的のは血の色。随所でこの赤が使われる。
文革前の中国は他では真似できないような豪華絢爛、煌びやかな色が沢山使われていた。廃れるのは勿体ない。



レスリー・チャンはこの役を演じるために生まれてきたんじゃないかというほど見事!!虞姫が乗り移ったかのよう。あの子供時代の小豆も中性的でゾクッとするような妖艶な雰囲気。この子役もすごい!!
小豆(蝶衣)は涙を流すことで感情表現をしている。彼は浮世離れしていて儚く、現実世界で生きていける人ではないように見受けられた。



コン・リー。当時は中国映画といえばこの女優というほど売れていた。演技力もさることながらキリっとした佇まい。そしてスタイルが良く美しい(やはり、山口百恵さんに似ている。)



覇王を演じたチャン・フォンイーは体格が良くレスリー・チャンとは反対のちょっと豪快なタイプ。


音楽がほぼ無い。太鼓のような音がドンドンとずっと鳴り響く。



外界、風景が映ることはない。それはまるでこの二人あるいは三人が浮世から隔絶されて生きている世界そのもののよう。
親も、暖かい家庭もなく育った三人が身を寄せあい暮らしていく。菊仙が多分無意識に蝶衣を抱いてあげるシーンが、切ない。



やがて三人は文革の波に呑まれてゆく。昨日まで同胞だった人たちが一転して敵に回る。その裏切り方に、人間が追い込まれた時の醜さが描かれており、そこまで徹底的にやるのかと当時かなり衝撃を受けた。


『覇王別姫』の物語と、主役ふたりと、同じ運命を辿るんですね。 


ラスト
以前観た時は、蝶衣(虞姫)が自害した瞬間、小樓(覇王)の顔に笑みが浮かんでるように見えたが今回は蝶衣(虞姫)の死を呑み込み、受け入れたかのように見えた。





〜〜〜お客さんの入り〜〜〜

リバイバル4K上映
ほぼ満席🈵
ポストカードを記念に貰う📩
久々にパンフを買おうかどうかかなり迷う。


30年前の作品。レスリー・チャンの死後20年。もう20年も経つのか…。レスリー・チャンは当時香港映画界の大スターだったので、亡くなったのをニュースで知りショックを受けたのを憶えている。



3時間弱の長尺。全てが見せ場のようで一時も目が離せない。何度も書いてしまうが、チェン・カイコー監督の映像や美術、衣裳、ストーリー、劇中劇、どれをとっても重厚で圧倒的。
素晴らしかった!
北斗星

北斗星