みぞみぞ

ミッシングのみぞみぞのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

石原さとみの演技が凄かった。何度も泣きのシーンがあったが、その泣きの演技が全て違くて適切なニュアンスがそこにあって、凄まじかった。



この監督の映画はいつもわかりやすく丁寧だし、今回も心は何度も揺さぶられたのだが、
3年前の『空白』の頃とは違い、もう現代人はこういった不幸が世界で今この瞬間も起こっていることは痛感しまくっているわけで、
今描くべきことはもう少し奥に存在してるんじゃないかと思った。これだとただ悲しいって言って涙を流すだけになって、本当に不幸に見舞われてる人達が浮かばれない。

今まで照らされてこなかった不幸にスポットライトを当てるのはフィクションの役割の1つだと思うが、
現代においては、もうその不幸を細かく丁寧に描く以上に、その不幸との対峙の仕方を模索していく様をもっと描くべきターンに入ってるんじゃないかなぁ。
生々しくどう事態が悪化していくのかどういう苦しみがそこにあるのかを切り取るのはもうドキュメンタリーに託していけばよいというか、その側面においてはこれ以上はドキュメンタリーにしかたどり着けない領域だと思うから、
フィクションはもっともっと、祈りの要素が強くて良いと思う。

どうしようも無い不幸がそこにあって、他人は無関心で、社会はおかしくなってて、自分も狂っていっちゃって、ということはもう人間にとっては日常的なことになってしまって、
映画で見る時間以上に家でsns見てる時とかの方がよっぽどその不幸を切実に感じていると思う。

フィクションの存在意義を、監督が今どう定義しているのか知りたくなった。
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