ShinMakita

ミッシングのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
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☆俺基準スコア:2.6
☆Filmarks基準スコア:3.7





静岡、沼津…

6歳の女の子、森下美羽ちゃんが失踪して3ヶ月。母・沙織里と父・豊は、懸命に捜索を続け、毎日ビラ配りの日々だ。地元ローカルTV局のディレクター・砂田はそんな2人に密着し、取材したVTRを流し続けていたが局内での反応は薄い。何の手がかりも進展も無いままだからだ。消える直前の美羽と一緒にいたのは沙織里の弟・圭吾。砂田は圭吾にインタビューを申し込むがなかなか承諾してもらえない。何とか説得しカメラの前に立たせてみるが、話が要領を得ず曖昧なため、まるで圭吾が誘拐犯であるかのような印象を視聴者に与えてしまった。以来、圭吾は嫌がらせを受け職場でも冷遇されていく。一方、沙織里のほうも、SNS上での言われなき誹謗中傷の嵐を前に、精神が限界を迎えていた…


「ミッシング」

以下、脚立を載せた白いネタバレ。


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吉田恵輔監督の最新作。人間の良い面悪い面、醜い面と尊い面、いくつもの揺れ動く感情や行動をリアルに見せることでは右に出る者はない、という監督。今回も期待通りでございました。連想したのは「スリービルボード」。ビラ配りは大看板建てるほど大袈裟ではなく、石原さとみも周囲とトラブル起こしたり過激な行動取るわけじゃないけど、なかなかエキセントリック。圭吾は「スリービルボード」におけるサム・ロックウェルのポジション。あまりに偶然、あまりに出来過ぎでもいいから、あの怪しいクルマを持つ家で美羽ちゃんが生きていてくれて願った観客は俺だけじゃないでしょう。沙織里のライブも圭吾のカジノも、外野は責めようとすれば幾らでも責められるポイントだけど、誰にも責める権利はないし、森下家に意識が入り込んだ状態…つまり当事者目線では、観客は責める気にならなくなるんですよね。その辺り、絶妙でした。砂田が低体温かつ良識人キャラの中村倫也がやっているのが唯一の不満で、ここはもっと胡散臭くて言葉に説得力のない…中島歩あたりがやった方が良かった気がしたけども。

石原さとみも青木崇高も素晴らしかったし、圭吾役・森優作の「天才的に他人を苛つかせる演技」も最高。「警察からの電話」サプライズや第二の失踪事件と絡めていく展開など、エンタメとしての脚本の出来も秀逸でした。オススメです。


先日観た「蛇の道」でも思ったけど、柳憂怜(いつのまにかユーレイじゃない)ってめちゃくちゃ良い役者になって年輪重ねてますな。そこも注目です。
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