マサルさん

わたしたちの国立西洋美術館~奇跡のコレクションの舞台裏~のマサルさんのレビュー・感想・評価

4.9
日本を代表する美術館の様々なすがたを丹念に映し出し、わたしたちの人生において美術そして美術館がどのような存在であるかを考えさせられる。傑作。

予備知識がほとんど無いまま視聴(整備のため休館してたことも忘れていて、そういえば先日近くを通ったときに「こんなに地獄の門って見えてたっけ?」と気になったことも忘れてたくらい)したにも関わらず、知的好奇心が刺激されまくった。

国立西洋美術館に密着し、勤務している人々のお仕事(作品修復や購入など全く知らなかった!)や志などの一人一人の人となり、移動のための梱包作業、会議、四季折々の周辺風景、国内外の他美術館とのつながりなどを、そのままに捉えている。
素材自体が魅力的であり、そのことを意識してセンセーショナルな演出を加えたりせず、裏側を丁寧にフィルムに収めている。
(上映後に監督トークのある回を鑑賞し、もともとNHKで教養ドキュメンタリー番組を作られていたと知り、腑に落ちました)

質疑応答で(しどろもどろになりながら)美術館における評価基準を伺ったときに、観客動員数と美術館専門家による質の評価という2軸を回答をいただき、見え方が一層くっきりになった感じがありました。