スワヒリ亭こゆう

ジュリア(s)のスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

ジュリア(s)(2022年製作の映画)
5.0
主人公・ジュリアの人生を描いた作品なんですが、「もしもあの時違う選択をしていたら?」
ジュリアの節目節目に違う選択をして異なる人生を見せていく映画です。
ベルリンの壁が崩壊された日、17歳でフランスの親元を離れアムステルダムで寮生活をしていたジュリア。
友達とベルリンの壁が崩壊されるニュースを見て、みんなで寮を抜け出してベルリンに行こうと計画するが…

ジュリアはピアニストを夢見ている少女なんです。
そんな彼女が少しのキッカケで大きく運命が変わる。ベルリンに行くか?行かないか?ピアニストになるか?ならないか?親、恋人、友達。喧嘩したり愛し合ったり。
色んな人生を見せていくんです。

本作のジュリアを演じたのはルー・ドゥ・ラージュというフランスの女優さんで、めるるに似ているとっても可愛い女優さんです。
で、人生が枝分かれして、それぞれの人生に浮き沈みがあるんですね。
ジュリアが笑顔で暮らしている時もあれば哀しそうな時、冷たい性格のジュリアもいる。
それを演じ分けてるのも素晴らしいんですけど、それぞれの人生で笑ったり泣いたり、色んな表情をルー・ドゥ・ラージュは見せてくれて、それがとても魅力的だしチャーミングで愛おしく感じます。
ひとつの作品で色んな表情、女性像を見せれる彼女の表現力がとても素晴らしかった。
ほんの2時間でファンになってしまいました!

それと本作の監督の脚本の素晴らしいのは人生に関して、とても肯定的な所です。
この人生は上手くいってて良いなぁと思っても潮目が変わり後で段々と悪くなる。
これは失敗だと思っても後々、良い人生になってくる。
他人が羨む人生も本人になれば分からない。成功とは言えない人生だったりする。
現在、上手くいってなくても人生は捨てたもんじゃないんじゃないか?というのを監督は観客に伝えたいんじゃないだろうか。
言ってみれば人生讃歌の様な映画なんですね。
人生に於いて無駄な事はなく失敗も成功もない。
勿論、仕事のキャリアなんかは失敗や成功はあるでしょう。だけど人生という長い時間を見てみると1か0ではなくて、あなた方が生きてる事が1なんだと、そう言ってくれてる様な気がして、とっても良い映画でした。

それと同時に他人に薦めたくなる映画です。
勿論、映画に興味を持ってない人は薦めませんが、ここまで読んでくれた人なら映画に興味がある人だと思うので強く推薦したい映画です!
お見事でしたよ!