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FLY!/フライ!のkuuのレビュー・感想・評価

FLY!/フライ!(2023年製作の映画)
3.8
『FLY!/フライ!』
原題 Migration 映倫区分 G
製作年 2023年。上映時間 83分。
劇場公開日 2024年3月15日。
『ミニオンズ』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のイルミネーション・スタジオによるオリジナルの長編アニメーション。
渡り鳥なのに小さな池から一度も出たことがないカモの一家が、初めての大移動に乗り出す姿を描いたファミリーアドベンチャー。
オリジナルキャストはマック役にクメイル・ナンジアニ、妻のパム役にエリザベス・バンクス。
日本語吹き替え版はマック役を堺雅人、パム役を麻生久美子、好奇心旺盛な息子ダックス役を黒川想矢、おてんばな娘グウェン役をミュージカル『SPY×FAMILY』アーニャ役の池村碧彩がそれぞれ担当。そのほか羽佐間道夫、野沢雅子、関智一、鈴村健一ら豪華声優陣も吹き替えに参加している。

アメリカ北東部、ニューイングランドの小さな池に暮らすカモの家族。
父親のマックは、興味本位で池を飛び出したカモの悲惨な末路を子どもたちに語って聞かせるのが日課で、池にいれば一生幸せに暮らすことができると信じていた。ところがある日、彼らの暮らす池に移動途中の渡り鳥が立ち寄り、その自由な姿に妻や子どもたちは大興奮。
自分たちも外の世界を見てみたいと言い始めたことから、一家はカリブ海の楽園ジャマイカを目指し、3000キロの大移動に乗り出すことになるが……。

監督のバンジャマン・レネールと脚本家のマイク・ホワイトは、チームワーク、恐怖の克服、優しさなど、お決まりの前提採用してる。
しかし、彼らはオープニングからエネルギッシュな物語を展開し、個人的にはオッサンの小生でも十分に楽しめた。
映画全体を通して、製作者たちは楽しいシークエンスとドラマチックなシークエンスをスムーズに行き来する。 
今作品の最大の魅力はそのビジュアルだ。 色彩豊かで夢のような世界を描いても、登場人物たちの不運な冒険を描いても、今作品には絵本のようなクオリティーがある。
しかし、今作品の見どころは、若い観客だけを対象にしていないこと、大人も同じように楽しめる。
シンプルさと洗練を融合させるには才能が必要やけど、今作品はストーリーテリングとアニメーションでそれを実現している。
ストーリーを確立し、キャラを紹介し、世界を創り出すのに時間をかけることなく、スピーディーに進んでいく。
アオサギのカップル、ニューヨークで出会うハト集団のリーダーのチャンプ、仲間たちのメンタルを整えるヨガトレーナーのアヒルのグーグー、そして他の人間に肉を提供することで「捕食者」と呼ばれる敵役の人間シェフとの遭遇など、今作品はよく練られたトラックと陽気なシークエンスがウリかな。
そして、たそがれ時の空、夜に輝くジャマイカの海、色とりどりのコンゴウインコの群れ、あるいは殺風景と活気が同居する都会のセットアップなど、見事なビジュアルがすべてを引き立ていた。
今作品のもうひとつの新鮮な点は、頭でっかちなセリフを並べたり、都会の世界を批判的に見たりしていないこと。 
冒険も大げさではなかった。
しかし、欠点としては、シェフのコースが引き延ばされすぎているようで、ある時点から目新しさを失ってあ。
また、いくつかのシークエンスは唐突に終わる。
声優陣は、ナレーションでの役割のこなし方が光っていたかな。
クメイル・ナンジアニとエリザベス・バンクスが前座を務めるのは素晴らしいが、攻撃的なハト役のオークワフィナ、ジャマイカコンゴウインコ役のキーガン=マイケル・キー、巨大なアオサギ役のキャロル・ケイン、そしてダニー・デヴィートがショーを盛り上げていた。
キュートなマガモのグエン役のトレシ・ガザルも好演してた。
ストーリーは定型的で、ぎこちない部分もあるけど、今作品は楽しく、魅力的で、面白かった。
またいつの日にか再視聴の際は堺雅人、麻生久美子、ヒコロヒー、野沢雅子などの日本語の吹き替えで楽しみたいかな。
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