佐藤克巳

兵六夢物語の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

兵六夢物語(1943年製作の映画)
4.5
山椒は小粒でもぴりりと辛いの兵六榎本健一は、並の兵六玉では無かった。頓珍漢の息子エノケンに、母からの和尚中村是好宛への手紙を持って、鹿児島城下から心岳寺へ向かう途中、吉野の山に棲む狐の化け物に驚かされて、武士の恥髪の毛を剃られてしまうが、我に返り退治し和尚から太鼓判を押されて城下に自信満々で帰り、いざ出陣の郷土民話の映画化。兵六は、まず一眼坊に弾き飛ばされたが落ちこぼれ小狐高峰秀子に助けられ、茶屋の化け狐霧立のぼるに踊りで幻惑され庄屋に化けた狐に斬首される危機を逃れ、救ってくれた和尚は化けた狐で狐軍団との大格闘を演じた。そうした神出鬼没の場面を円谷英二の特撮が冴え、手堅い演出を見せた青柳信雄監督のファンタジーミュージカル映画の秀作。
佐藤克巳

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